MD手術との出会い

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 私がMD手術を始めたのは平成14年11月である。その当時、国内でMD手術はほとんど行われていなかった。以来、独自に工夫を重ねながら、この6年6ヶ月の期間に手がけたMD手術は1488例(腰椎1362例、頸椎116例、胸椎10例)になる。
  時折、MD手術のトレーニングをどこで受けたのかと尋ねられることがある。ないと答えると決まって驚きの反応が返ってくる。新しい手術は実績のある外科医のもとでトレーニングを積むというのが世の常識だからであろう。そういう意味では、私は“非常識”の道を歩んだことになる。
  近年は手術に必要な知識を学ぶための方法に事欠かない。特に、手術ビデオやDVDは居ながらにして、その道のエキスパートの手術を学ぶことができる。とは言っても、腰椎手術の経験なしにMD手術に取り組むことは無謀すぎる。私の場合、開創法による顕微鏡手術を相当数経験していたことが役に立った。
  私がMD手術に取り組んだ理由は、侵襲の少ない手術によって患者の受ける恩恵の大きさと、高度な技術習得への外科医としての挑戦心からであった。業者からTRを紹介されたとき、これは使えると直感し、まもなく手術道具一式を購入した。しかし、いざ手術に踏み切るとなると、なかなか決心がつかなかった。当然のことながら、TR内でオリエンテーションがつくであろうか、などなど不安・迷いがつきまとった。そのため、開創手術の最中に随所でTRを設置し、開創手術とTR術野の所見の比較と関連付けを行い、TR内で実際に手術操作を試みた。この経験がMD手術に踏み切る自信を与えてくれた。これからMD法に取り組む医師の方々には、ぜひ勧めたいトレーニング法である。

≪高齢者に優しい脊椎手術を求めて≫
  患者が脊椎手術に期待するものは、痛みやしびれなどからの苦痛からの解放であり、損なわれたQOLの回復である。このことは働き盛りの青壮年者のみならず、高齢者においても同様である。高齢者の自立的生活を破たんさせる脊椎疾患は生きがいを失わせ、絶望に至らせる病でもある。私の最近の腰椎MD手術の約3割が70歳以上の高齢者であることは、高齢者が周囲の手を煩わせずに、自立した生活を維持したいとの強い思いの表れであろう。保存治療の無効な高齢者が私ども外科医の手によって生きる希望を回復できるなら、まさに外科医冥利につきる。「年だから付き合っていきなさい」という言葉は患者にとって何の励みにもならず、その逆に絶望的な言葉としてさえ響く。この言葉が白内障の治療現場からすでに消え去ったように、脊椎治療においても早く死語になることを望みたい。挑戦なくして進歩なし。脊椎外科を目指す若い方々には、高齢者の身体に優しいMD手術を是非習得していただきたい。そのために私の経験が役に立つなら、協力を惜しまないつもりである。

(脊椎脊髄ジャーナル VOL.22 NO.9 から引用)

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